著者・編者 | The Morgenthau, Jr., |
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出版社 | (UPA, US) |
ニュース番号 | <K07-89> |
モーゲンソー二世(1891-1967)は、F.D.ローズヴェルトの古くからの盟友で、1934年から1945年ローズヴェルト政権の最期まで財務長官をつとめた、ニューディールから第二次大戦期の指導者の一人です。彼は本来の任務のほか、ローズヴェルトから再三にわたり特別任務を与えられ国内外の重要課題の解決にあたっています。例えば1933年政権発足の当初は、創設された農場信用局(FCA)の総裁でしたが、外交的手腕を見込まれてソ連承認と穀物供与の交渉に携わります。1941年には武器貸与法をまとめる中心となり、1944年には財務長官のまま、戦争避難民局(WRB)を委ねられます。戦後ドイツの再建構想では、"モーゲンソー構想"として知られる再建案をまとめました。財務省を率いてローズヴェルトの意欲的な管理通貨政策、金購入政策を助け、1936年米英仏三国通貨協定を軸に国際的な通貨安定政策を展開、ケインズ主義と対立しながら均衡財政論を主張しています。戦後世界について、各国の開放的経済体制による世界貿易の拡大をめざす多角的貿易体制の構想を策定していました。これは1944年ブレトンウッヅの国際経済会議で、IMFと世界銀行の設立として結実します。
F.D.ローズヴェルト文書館に所蔵されている本「ダイアリー」は20万㌻以上、865冊にも及ぶ膨大なもので「アメリカ現代史を検討する上での根本資料」として高い評価を得ています。ローズヴェルトの信任が最も厚い閣僚であり、個人的な相談役としても活躍したモーゲンソーの「ダイアリー」には、財務省だけでなく、ローズヴェルト政権全体の意思決定にかかわる問題が記録されています。大統領自身の各閣僚に対する辛辣な批判なども記され、また閣内でリベラル派の位置にあったモーゲンソーのヨーロッパでのナチズム台頭への懸念、国内の失業救済問題など関心の広がりを映し出しています。モーゲンソーの記録魔ともいえる性格を反映して、多くの関連資料が挿まれているのも本資料の特徴です。政府機関の会議録、政策立案の根拠となった統計や、雑誌・新聞記事資料、電話交信メモ、企業の契約書、個人的な会話メモ、書簡類などが収められ、当時の社会・政治背景が把握できます。アメリカの、ニューディール、経済史、社会改革、政治史、大統領、軍事史、ユダヤ人、第二次大戦史、戦後構想、戦後世界経済などの研究にとってこのコレクションは「超一級の歴史文書」と評される貴重な資料です。
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