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著者・編者 | Kurimoto, Jo-un, |
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ニュース番号 | <R20-27> |
Frist edition. 8vo, Japanese fukuro-toji, 21 leaves, original wrappers
幕末に来日、ロッシュの公使として日仏交渉の舞台裏で活躍、辣腕ぶりで勝海舟が「妖僧」、西郷隆盛が「奸物」と称したフランス人宣教師カション(Eugéne-Emmanuel Mermet-Cachon, 1828-1889)が箱館時代に知り合った幕府医官栗本鋤雲と交わした当時の欧州およびフランス事情についての29の問答集です。その内容は、第1問:フランスの自治体、第2問:フランスの士農工商、第3問:世禄と武家の相続、第4問:農民の租税、第5問:商人の租税、第6問:輸出品目の国内化価格、第7問:軍艦用費の支弁、第8問:フランス軍艦兵卒の所属と俸給、第9問:兵卒水夫の募集、第10問:商人の武器携行、第11問:フランスの刑罰、第12問:政府の専売品、第13問:ヨーロッパの一夫一婦制と女性の地位、第14問:インドの大反乱、第15問:ヨーロッパ主要国の人口、第16問:ベルギー独立革命、第17問:摂政、第18問:フランスの名家、第19問:フランスの歳入額、第20問:ドルについて、第21問:ヨーロッパ諸国の学術の源、第22問:メートル法、第23問:ナポレオン、第24問:通信時代以前の通信手段、第25問:ドルトフランの両替、第26問:各国の通貨、第27問:西洋各国の通商・修好と戦争、第28問:軍艦の建造と購入、第29問:フランスの「誇示すべき盛挙」、と多岐にわたっています。ロッシュは1864年に着任すると横浜仏語伝習所を設立、幕府軍の教練のためのフランス人技師、軍人招聘そして横須賀製鉄所(後の横須賀造船所)建設を実現させます。これらの事業にはロッシュの通訳カションと幕府の目付鋤雲が関与しています。この問答集の第27、28の問答は、横須賀造船所の大事な礎のひとつ、といわれます。(塩川浩子「栗本鋤雲のフランス:「鉛筆記聞」のころ」、共立女子大学文芸学部紀要、第53巻、2013年1月)