◆米国議会図書館所蔵の戦時下の米国経済史・金融史の重要資料をデジタル化
【第二次世界大戦期の物価管理局の設置と臨時物価統制法の成立】
第二次世界大戦中に設置された物価管理局 Office of Price Administration (OPA) は、1941年4月に戦時下の配給・物価維持の計画を練っていました。戦時インフレが迫っていた同年秋、OPAでは、生産、分配、輸送面での全国的なコストの変動を調整することが急務でした。翌年、臨時物価統制法 Emergency Price Control Act (EPCA) が成立し、戦時下の物価を行政監督する包括的な仕組みが整えられたのです。
【臨時物価統制法の執行と臨時控訴裁判所の意義】
同法はOPA長官の価格規制に関する権限を強化し、長官に公平・公正な物価を設定するよう命じると同時に、設定された上限物価に耐え切れない人が長官に抗議文を提出することも認めました。しかし、売主や地主が物価統制の法令に反対して州・連邦裁判所にその差止命令 injunction を求めるような事態を回避するために、臨時控訴裁判所Emergency Court of Appeals (ECA) を設立し、同裁判所に物価統制法令の適法性の判定も命じました。この法の規制対象とされた人は、差止命令の手続きによっても、法令違反の刑事訴追に対する抗弁を通じても、州・連邦の通常裁判所においては、行政規則の合憲性・制定法上の権威に異議を唱えることが出来なくなりました。
最高裁判所は、EPCAやECAが米国経済を安定させ、一定の収入を持つ人々を守り、物価や地代の投機的な上昇を防ぎ、不当利得 profiteering・死蔵 hoarding などの市場の阻害要素を取り除くのに大いに力があったとして、戦争遂行におけるその重要性を強調しました。
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