英領インド政府の発禁出版物コレクション
◆インドの自由闘争や宗教・政治的対立、言論統制の実態を示す貴重な一次資料
イギリス植民地政府下のインドでは、報道と出版活動は一貫して厳しく統制されており、反乱や民族主義運動の高まりに応じて様々な法令が施行されました。特に1910年に制定されたインド出版法は、言 論抑圧の制度的な柱となり、扇動的な出版物に対して検閲や押収、印刷機の没収、出版者の投獄などの措置を可能としました。この法律には、反英的・革命的文献の国外からの流入を取り締まる条項も含まれており、アニー・ベサントやアメリカのポピュリストによる批判的文書、ロシアや中国における社会主義革命に関する記録も対象となりました。第一次世界大戦中にはドイツやトルコのプロパガンダを排除する必要性が高まり、戦後もガンディーによる非協力運動と連動して民族主義文学や詩の発禁処分が相次ぎました。これらの資料はロンドンなどに保存され、現在は貴重な研究資料となっています。1920年代には一時的に規制が緩和されましたが、パンジャブ地方における宗教運動や共産主義文学の拡大 に伴い、再び抑圧が強まっていきました。1930年代には出版物の禁止が急増し、第二次世界大戦下では、戦争参加に反対する団体の資料も禁止対象となりました。
本コレクションに収録されたモノグラフ、新聞、パンフレット、ポスターといった印刷物は、1910年代から1940年代にかけてのインドの自由闘争や宗教・政治的対立、言論統制の実態を示す貴重な一次資料となっております。収録資料は、英語をはじめベンガル語、ヒンディー語、グジャラート語、パンジャブ語、マラーティー語、ウルドゥー語、さらにはドラヴィダ諸語など、多様な言語で書かれており、それぞれの地域性や視点が反映されています。そのため、本コレクションは、20世紀のインド独立運動を理解するための最大級の印刷物アーカイヴといえるでしょう。
※本コレクションはマイクロフィルムPublications Proscribed by the Government of Indiaをデジタル化したものです