チベットにおける中国勢力に関する英国諜報ファイル 1900~1950年頃
大英図書館所蔵、英国インド省の機密ファイルが語るチベットの半世紀
本コレクションは、20世紀前半にロンドンのインド省で蓄積されたファイルおよび関連する極秘印刷物を復刻した、オンライン提供の一次資料集です。チベットをめぐるインド政府・インド省・外務省という英国側三者が、それぞれ異なる利害関係を抱えながら対応していた様子を示している点に特色があります。北京の英国大使館からの見解、また後に戦時中の重慶からの見解は、しばしばデリーやインド省の見解と対立していました。
長年にわたり英国側は「中国の宗主権の承認は、チベットの自治の中国による承認を条件とするべきである」という自ら課した難題を抱えながら、いずれの概念も明確に定義することを避け続けました。その間チベットは半独立の状態にあり、インド政府の役人を通じた英国の干渉と支援を受けながら独自の道を歩んでいました。支援の拠点はギャンツェやガルトク(シッキム)に置かれ、後にはラサの英国代表部がその役割を担っていました。
収録範囲は、1903~04年のカーズン卿による「前進政策(フォワード・ポリシー)」に始まります。これはロシアの影響に対する緩衝国としてチベットを確立することを目的としたもので、この時期の関連資料はすべて外務省によって印刷されていました。その後、ロシアを遠ざけるための交渉、中国からチベットへ帰還した第13代ダライ・ラマの動向、1911年の辛亥革命後にチベットが中国と決別した経緯、1912年のシムラ会議、チベットの国境画定に関する詳細な記録などが含まれます。さらに、4人の若いチベット人を英国のパブリックスクールで教育し「近代化の先駆者」とする試みの詳細を記したファイル群や、チベットへの入境が英国によって厳しく管理されていた経緯を記録した大規模な資料も収録されています。
1920年代から1930年代にかけては英国によるチベットの内政支援が行われ、事実上の半独立状態が続きましたが、第二次世界大戦期には中国国民党政府によるチベット領有の主張が再び懸念されるようになりました。この時期の資料としては、1937~1939年にかけての現ダライ・ラマ(第14代)の「発見」に関する記録が含まれます。本コレクションは、1947年のインド・パキスタンの分離独立、そして中国共産党の勝利による英国の政策の完全な転換をもって終結します。中国の現在のチベットにおける立場の歴史的背景を理解するための一次資料群です。
資料の来歴
今回復刻されたファイルおよび関連する極秘印刷物は、インド省記録の「政治・秘密部門(Political & Secret Department)」の資料の一部を構成しています(軍事部門と、その第二次世界大戦の派生物である戦争参謀本部からの3つの項目を除く)。
これらのファイルには、インド政府の外務部門(Foreign Department)およびインド国内のその他の機関、さらにロンドンの外務省から送られた多様な文書が含まれ、あわせてインド省内で作成された議事録、コメント、返信なども記録されています。
1982年、英国外務・英連邦省(Foreign & Commonwealth Office)はインド省図書館および記録部門の管理を大英図書館へ移管し、現在これらの資料は大英図書館の「東洋・インド省コレクション(Oriental & India Office Collections)」の一部として保存されています。
収録内容(文書のタイプ別・全8セクション)
- Younghusband Mission to the Revolution, 1903–1912
- Revolution in China, 1911–1915
- Simla Conference and the 1914 Convention
- Internal Affairs and Boundaries
- Travellers and Entry Control
- Trade, 1904–1949
- Education for Modernisation, 1912–1947
- Fourteenth Dalai Lama, Second World War, and Communist China, 1933–1950
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