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Landmark Affirmative Action Cases. : Gratz v. Bollinger and Grutter v. Bollinger. (2003). 3 vols. 「アファーマティブ・アクション(差別解消積極措置)」重要裁判資料集グラッツ対ボリンジャー及びグラッター&ハマカー対ボリンジャー

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出版社(UPA, US)
出版年月2005
言語ENG
ニュース番号<535-3250 557-3211>

解説

アメリカの人種擁護政策の中で最も賛否両論が激しく対立しているものが"アファーマティブ・アクション"といえましょう。連邦最高裁は2003年6月23日ミシガン大学の入学選考における「有色」のマイノリティに対する優遇措置をめぐり、法科大学院については合憲、学部に関しては違憲としました。一見矛盾した判断に見えますが、アファーマティブ・アクションに関する最高裁の基準が示されたといえます。
法科大学院の裁判[Grutter v. Bollinger. (02-241) 539 U.S. 306 (2003)]は、連邦地裁ではバーバラ・グラッターの訴えを認めてアファーマティブ・アクションは違憲、大学側が控訴し第6巡回控訴裁判所は一転して合憲としていました。一方学部の裁判[Gratz v. Bollinger. (02-516) 539 U.S. 244 (2003)]は逆のコースでした。一つの大学のアファーマティブ・アクションに関して裁判所が次々と異なった判決をだしており最高裁の判断が全米の注目を集めました。最高裁でも意見が割れ、法科大学院の裁判では5対4で大学院のアファーマティブ・アクションを合憲とし、選考に当たりマイノリティであることをプラスとすることが認められることと、大学院の人種的多様性を確保するために限定的に用いられるという判断が示されました。一方、学部の裁判では6対3で違憲とされました。その理由は学部のポイント制にあり、マイノリティ-の場合150点満点中自動的に20点加算されるシステムは憲法修正14条と公民権法タイトルVIIに違反するものとされました。二つの裁判の相違点は「法科大学院は志願者を個人ごとに扱っており人種を判断材料の一つにしているにすぎない。学部のアファーマティブ・アクションは志願者の人種が決定的な要素になるような機械的なシステムになっている」ことにあるようです。人種を入学基準の一つとすること自体が違憲とされなかったためアファーマティブ・アクションは存続することになり、事実上アファーマティブ・アクション擁護派の勝利といえます。
アファーマティブ・アクションは1961年3月ケネディ大統領によるマイノリティ差別是正策に始まり、ジョンソン大統領によって組織化され、ニクソン大統領が強化し、クリントン大統領が修正してきました。本来の主旨は能力的に優れたマイノリティを積極的に雇用していくというもので、集団ごとの割当枠設定とか、マジョリティ構成員を逆差別するものでもありませんが、実際には1980年代には多くの場合、雇用や大学入学選考で割当枠が採用されてきました。アファーマティブ・アクションの監視機関である公正雇用機会委員会(EEOC)は企業に対して雇用データの提出を求め、雇用差別を行っている企業に対しては訴訟を行ってきましたが、その場合マイノリティごとのデータを用いてきたのが割当制の拡がった一因でもあるようです。「差別是正」と「機会均等」という両面を抱えるアメリカ社会の矛盾といえるかもしれません。アファーマティブ・アクションは、民族的・宗教的マイノリティ-、女性、障害者、高齢者のために形式的な「法的平等」だけでなく「事実上の平等」を実現するための施策とされ、欧州や国連の場ではポジティブ・アクションと呼ばれたり、雇用衡平と呼ぶところもあります。日本では男女雇用機会均等法、身体障害者雇用促進法などはこの一つでしょう。