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Intellectual Legacy of Management Theory.

Intellectual Legacy of Management Theory. : Series 6: Leadership and Motivation. Part 1: Leadership. 7 vols. 『経営学 知の遺産』  シリーズ6 『リーダーシップとモティベーション』  Part 1 「リーダーシップ」 全7巻

・ISBN 978-1-85196-855-8 hard set

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著者・編者Wren, Daniel A. / Sasaki, Tsuneo (eds.),
出版社(Pickering & Chatto, UK)
出版年月2006
言語ENG
ニュース番号<528-2517>

解説

経営学研究の重要な研究テーマの一つは、リーダーシップである。なぜなら、経営学という学問の主要な生成基盤の一つがアドミニストレーション(行政)であり、ガバナンス(統治)であるからである。現代にいたる経営学研究の歴史を鳥瞰すれば、その本流は、テイラーらによる工場現場の能率問題よりも、むしろ大規模組織をいかに統治するかというファヨールにはじまるアドミニストレーションの問題、そのエッセンスであるリーダーシップの問題にこそある、と考えられる。第7回配本「リーダーシップ」は、現代リーダーシップ論の基礎となるClassicalな諸理論、つまり標準的で典型的な諸理論で構成されている。
 今回の配本の第1巻は、クルト・レヴィンの『社会的対立の解決』である。早世した彼が世に残したものは、グループ・ダイナミックスとよばれる社会心理学の一連の論稿である。複雑化し動態化した作業集団内での集団メンバー個々人の行動は、そこでの個人と集団の相互作用によって影響される。したがって、集団の適切な雰囲気や情況を創出することが重要であり、それこそが民主的リーダーの役割であるとして、この問題は後に組織開発論へと展開される。また、科学理論は実証されるべきであるとして、アクション・リサーチと呼ばれる科学方法論が主張される。彼こそ、現代経営学、とりわけリーダーシップ研究の創始者であるといっても過言ではなかろう。
 第2巻はワイト・バッキのコレクションである。彼はエール大学労使関係研究センターで仕事をした労働経済学者であり、経営学の分野ではほとんど顧みられていない。わが国で彼を取り上げ評価したのは、北野利信教授ぐらいだろう。したがって、このコレクションに収めた4点の著作を所蔵する国内の大学図書館は非常に少ない。そのバッキをなぜ取り上げるのか。「個人と組織、その対立と調和」の問題が、現代経営学の基本問題であることを否定する人はいないだろう。バッキが主張するのは、企業における人的活動の重要性である。組織目標をめぐる労使対立から生まれてくる緊張関係を、現場監督者レベルでのマネジャーのコミュニケーション・スキルによって解決し、有効なチームワークを開発すること、公正な報酬制度を確立することなど、彼は「リーダーシップの目標適合理論」を形成し、後のアージリスに大きな影響を及ぼした。
 第3巻はクリス・アージリスの『パーソナリティーと組織』である。彼は、人間パーソナリティーの成熟度は自然年齢よりも、健全な自己概念と人生の見通しによって決まるとする、パーソナリティー論の開拓者である。公式組織で働く人たちの仕事のやり方と彼ら個々人の健全な成熟欲求との間に存在する不一致を発見した彼は、自己実現とより健全なパーソナリティー欲求を実現するために、マネジメントをどのように変えるべきであるか、いかにすれば個人と組織の統合を実現できるか、その具体的な方策をわれわれに考えさせる。
 第4巻はジェームズ・バーンズのピュリッツアー賞受賞作『リーダーシップ』である。ウイリアムズ・カレッジの政治学教授として長年教壇に立ち、政治的リーダーシップの研究に携わった彼は、経営学でお馴染みの資性論や状況論とは違った、変革型リーダーシップを提唱する。リーダーは、フォロワーが重要性のある仕事に永く携われるようにさせ、彼らを精神的に高揚させて、彼らの将来に対する見通しを変換させる役割を担うのである。どうすれば、そのようなリーダーシップの発揮によって、個人と組織に新しい活力を与えることが出来るのか、彼のリーダーシップ論が問いかけるのは、このような問題であるが、わが国で彼のリーダーシップ論が注目されることは少なく、このシリーズに収めた本書初版の国内大学図書館所蔵はゼロである。
 第5巻はレンシス・リッカートの周知の名作、『マネジメントの新しいパターン』である。彼は態度・価値調査で使用されるリーカット・スケールを開発したミシガン大学の心理学の研究者であるが、彼は1940年代に、ストグディルたちと本質的には同じ一連の実証研究を始めていた。彼らは同じような事実を発見したが、リーダーシップの有効性についての解釈は全く異なっていた。リッカートのリーダーシップ論はクルト・レヴィンのグループ・ダイナミックスの考え方に大いに影響されており、彼は生産性志向よりも従業員志向で、従業員の決定参加を重視するなど、民主的リーダーシップの提唱者であった。また、彼はメアリー・パーカー・フォレットの崇拝者であり、彼女の状況の法則というアイディアに基づいて、リーダーとフォロワーを結び付けるリンキング・ピンというアイディアを発展させた。
 第6巻はフレッド・フィードラーの『リーダーシップの有効性の理論』である。彼は一連のフィールド・スタディーに基づき、リーダーシップはリーダーとフォロワーが仕事をする場の状況にかかっていると結論づけ、リーダーシップのコンティンジェンシー理論を開発した。彼によれば、リーダーシップはタスクがどの程度よく構造化されているかどうか、リーダーとフォロワーの非人格的な関係が創り上げられているかどうかにかかっているとした。
 最後の第7巻『ストグディルのリーダーシップ論』は、1940年代アメリカのリーダーシップ研究のメッカであったオハイオ州立大学での一連のリーダーシップ研究の中心人物であったラルフ・ストグディルとその研究仲間たちの研究業績3点を合冊したものである。意外な事に、わが国でストグディルたちのリーダーシップ研究そのものが取り上げられることは比較的少なく、彼の著作の国内大学図書館所蔵も僅かであるが、彼らの研究はその後の状況論やコンティンジェンシー論への道を切り拓いたのであり、経営学史的には非常に重要な意味を持っている。彼らは伝統的な資性論を否定し、リーダーをしてリーダーたらしめるもの、リーダー行動の特性は何かを見極めようとしたのである。