株式会社極東書店トップ > 商品一覧 > Royal Commission on the Aged Poor, 1895 . Report and Minutes of Evidences. 3 vols. in 2. 1578 pp. (London, H.M.S.O., 1895). Reprint.
商品詳細
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解説
現代の日本で、人々の最大の関心は年金問題です。特に退職後の老齢年金はいつ頃、どのように発生したのでしょうか。
その答えがこの委員会報告書にあります。19世紀末、労働者の深刻な困窮状態をかかえ、イギリスは救貧法内外での新たな救済を考えざるを得ませんでした。バーネット(Samuel Augustus Barnett, 1844 - 1913)やウェッブ(Sidney Webb, 1859 - 1947)が改革者として年金に注目しました。中でもチャールズ・ブース(Charles Booth, 1840 - 1916)の活躍は見逃せません。彼はロンドンの貧困調査を行う過程で、老齢者の実態をつぶさに告発していきます。解決策は無拠出老齢年金でした。またジョセフ・チェンバレン(Joseph Chamberlain, 1836 - 1914)も年金問題を公約にして国会議員になりました。彼の案は政府が補助する形で任意性のある拠出型年金でした。この両者が王立委員会で激突したのです。「加齢から仕事をできなくなって赤貧に陥った人々に場合、救貧法救済の変更が望ましいかどうか、またこうした場合に補助がなされるかどうかを調べる」(諮問条件)必要があったのです。
経済学者マーシャルもこの問題に関心があり、委員会にメモを提出し、証言をしました。家族・自立などを重視するCOS(Charity Organisation Society)(慈善組織協会)は委員にも食い込み、年金法の成立を阻止しようとします。報告書の多数派はこれまで通り、友愛団体が年金を担うべきとしましたが、ブースとチェンバレンは少数派として、政府の主導による科学的調査を勧告しました。そして豪州その他の状況をみて、イギリスは1908年にようやく無拠出型の老齢年金を確立するのです。議論の開始から20年以上たっていました。
委員会の証言やメモには政治家・官僚・圧力団体・学者の意見が入り乱れています。このように本報告書は、現代の年金問題を論議する際の最高の教訓を与えてくれるでしょう。経済史・経済学史は当然として、福祉学・政治学・財政学・社会調査論の研究者にも必携となります。
小峯 敦(龍谷大学経済学部 助教授)
その答えがこの委員会報告書にあります。19世紀末、労働者の深刻な困窮状態をかかえ、イギリスは救貧法内外での新たな救済を考えざるを得ませんでした。バーネット(Samuel Augustus Barnett, 1844 - 1913)やウェッブ(Sidney Webb, 1859 - 1947)が改革者として年金に注目しました。中でもチャールズ・ブース(Charles Booth, 1840 - 1916)の活躍は見逃せません。彼はロンドンの貧困調査を行う過程で、老齢者の実態をつぶさに告発していきます。解決策は無拠出老齢年金でした。またジョセフ・チェンバレン(Joseph Chamberlain, 1836 - 1914)も年金問題を公約にして国会議員になりました。彼の案は政府が補助する形で任意性のある拠出型年金でした。この両者が王立委員会で激突したのです。「加齢から仕事をできなくなって赤貧に陥った人々に場合、救貧法救済の変更が望ましいかどうか、またこうした場合に補助がなされるかどうかを調べる」(諮問条件)必要があったのです。
経済学者マーシャルもこの問題に関心があり、委員会にメモを提出し、証言をしました。家族・自立などを重視するCOS(Charity Organisation Society)(慈善組織協会)は委員にも食い込み、年金法の成立を阻止しようとします。報告書の多数派はこれまで通り、友愛団体が年金を担うべきとしましたが、ブースとチェンバレンは少数派として、政府の主導による科学的調査を勧告しました。そして豪州その他の状況をみて、イギリスは1908年にようやく無拠出型の老齢年金を確立するのです。議論の開始から20年以上たっていました。
委員会の証言やメモには政治家・官僚・圧力団体・学者の意見が入り乱れています。このように本報告書は、現代の年金問題を論議する際の最高の教訓を与えてくれるでしょう。経済史・経済学史は当然として、福祉学・政治学・財政学・社会調査論の研究者にも必携となります。
小峯 敦(龍谷大学経済学部 助教授)